こんにちは。つむぎ養生堂マッサージ処の弘中です。

「姿勢が悪いから肩がこるんですよ」
「骨盤がゆがんでいるから腰が痛いんです」

肩こりや腰痛で整体やマッサージに行くと、よく聞く説明です。そう言われて、背すじを伸ばすように気をつけたり、猫背を直すグッズを試したりした方も多いと思います。

それでも、なかなか良くならない。そんな方は少なくありません。

実は、肩こりや腰痛を「姿勢だけ」で説明するのは難しいことが、海外の研究からわかってきています。今回は、姿勢と痛みについて研究でわかっていることと、つらさが続く本当の理由についてお話しします。

研究でわかっていること① 腰痛と姿勢

オーストラリアの研究チームが、姿勢や体の使い方と腰痛の関係を調べた「研究のまとめ」を、さらにまとめて調べました(2020年)。4,000件以上の論文から、41本のまとめ論文を選んで検討しています。

その結果、座りっぱなし・立ちっぱなし・前かがみ・ひねる動作などと腰痛の関係は、「関係がある」という報告と「関係がない」という報告の両方がありました。そして、「姿勢や体の負担が腰痛の原因だ」という合意は得られていないと結論づけています。

研究でわかっていること② 首の痛みと姿勢

同じくオーストラリアで、17歳の約1,100人の座った姿勢を写真で調べた研究があります(2016年)。首の姿勢を「まっすぐ」「中間」「背中が丸く頭が前に出ている」「背中はまっすぐで頭だけ前に出ている」の4つの型に分けて比べました。

結果は、どの型でも、首の痛みや頭痛の起こりやすさに差はありませんでした。いわゆる「猫背」の型の人だけが痛いわけではなかったのです。

ただし、この研究は17歳を対象にしたもので、大人にそのまま当てはまるとは限らない、と研究者自身が書いています。大人では、首の痛みがある人は頭が前に出ている傾向がある、という報告もあります。ただそれも、「姿勢が悪いから痛くなった」のか「痛いから姿勢が崩れた」のかまでは、わかっていません。

💡 ここがポイント

姿勢がまったく関係ない、というわけではありません。
ただ、猫背でも肩がこらない人がいて、姿勢がいいのにつらい人もいる。姿勢「だけ」では説明できない、ということです。

では、姿勢が良くなっても変わらないの?

そうとも言い切れません。頭が前に出ている人に運動をしてもらった試験7件(627人)をまとめた研究(2018年)では、運動で首の角度が良くなり、痛みも減っていました。

ただ、この研究の著者も「姿勢と痛みの関係や、運動で両方が良くなる仕組みは、まだはっきりしていない」と書いています。

つまり、良くなった理由が「姿勢が変わったから」なのか、「体を動かして筋肉を使ったから」なのかは、わからないのです。大切なのは、見た目の姿勢を整えることよりも、体そのものの状態が変わることだと当院では考えています。

つらさが続くのは、いくつもの理由が重なっているから

姿勢だけでは説明できないとしたら、何が関わっているのでしょうか。施術の現場でも、つらさはいくつもの理由が重なって続いていると感じます。

1. 血の巡り

筋肉が硬くなると、その中を通る血管が押されて、血の巡りが悪くなります。巡りが悪いと疲れがたまり、筋肉はさらに硬くなる。この悪循環が、こりを長引かせます。

2. 疲れ・ストレス

私たちの体には、もともと痛みをやわらげる仕組みがあります。疲れやストレスが続くと、この仕組みがうまく働きにくくなり、同じこりでも、痛みを強く感じやすくなると考えられています。「忙しい時期ほど肩こりがひどい」という方は、このパターンかもしれません。

3. 睡眠・冷え・体全体の状態

眠りが浅い、手足やお腹が冷える、胃腸の調子が悪い。肩や腰とは関係なさそうなことも、体全体の回復力に関わり、つらさが抜けにくい原因になります。

「いい姿勢をキープ」より、同じ姿勢を続けないこと

「いい姿勢を保たなきゃ」と、ずっと背すじを伸ばしていると、それはそれで体が固まってしまいます。どんな姿勢でも、長く続ければ同じところに負担がかかります。

当院では、正しい姿勢を「保つ」ことよりも、こまめに体を動かすことをおすすめしています。デスクワークの合間に立ち上がる、肩を回す、それだけでも十分です。

当院では、体全体から原因を探します

当院では、肩や腰だけを見るのではなく、脈やお腹の状態から体全体を確認し、つらさが続いている理由を探します。巡りの問題なのか、疲れやストレスなのか、冷えなのか。人によって重なり方が違うので、施術もその方に合わせて変えています。

また、体を支える筋力や体の使い方を見直したい方には、施術にプラスしてパーソナル運動指導もご用意しています。

こんな方は、一度ご相談ください

  • 姿勢に気をつけているのに、肩こり・腰痛が良くならない
  • 矯正や整体に通ったけれど、すぐに戻ってしまう
  • 忙しい時期や疲れているときほど、つらさが強くなる
  • 肩や腰だけでなく、眠りや冷えも気になる

※感じ方・変化には個人差があります。
※しびれ、急な強い痛み、夜も眠れないほどの痛みがある場合は、まず医療機関を受診してください。

参考にした研究

  1. Swain CTV, et al. No consensus on causality of spine postures or physical exposure and low back pain: A systematic review of systematic reviews. J Biomech. 2020;102:109312. PubMed
  2. Richards KV, et al. Neck Posture Clusters and Their Association With Biopsychosocial Factors and Neck Pain in Australian Adolescents. Phys Ther. 2016;96(10):1576-87. Curtin University
  3. Sheikhhoseini R, et al. Effectiveness of Therapeutic Exercise on Forward Head Posture: A Systematic Review and Meta-analysis. J Manipulative Physiol Ther. 2018;41(6):530-539. University of Limerick